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AIをテーマにした座談会で弊社CTO田口が登壇(2017.09.11 & 14:BTD2017)

みなさん、こんにちは。アートディレクターのhayatoです。
今回はBeckhoff(ベッコフ)で毎年開催しているBeckhoff Technology Days 2017に弊社CTOの田口が登壇したので、その内容を共有します。

目次

    1.開催概要
    2.イベントプログラム
    3.AIをテーマにした座談会
    4.座談会を終えて

開催概要

    横浜会場
    日時:2017年9月11日(月)13:00~17:00
    場所:日石横浜ビル1Fホール(横浜市中区桜木町1-1-8)
    名古屋会場
    日時:2017年9月14日(木)13:00~17:00
    場所:名古屋コンベンションホール(名古屋市中村区平池町4-60-12 グローバルゲート)

両日共に天候に恵まれ、横浜・名古屋共に約150名(筆者調べ)の方が参加され、多くの関心を集めていたことが伺えました。

横浜会場
AIをテーマにした座談会で弊社CTO田口が登壇

名古屋会場
AIをテーマにした座談会で弊社CTO田口が登壇

イベントプログラム

    13:00 – 13:25
    New Automation Technology「EtherCATの実力を引き出すTwinCAT」
    ベッコフオートメーション株式会社 代表取締役社長 川野俊充 氏
    13:25 – 14:35
    ベッコフ新製品のご紹介
    14:50 – 15:45
    先進事例紹介「深層学習を活用した良品判定の自動化と加工条件の最適化」
    駿河精機株式会社 代表取締役社長 丸井武 氏
    15:50 – 16:50
    座談会「当事者・関係者が語る『AI現場力』」

    <スピーカー>
    ・株式会社エクサインテリジェンス 取締役CTO 浅谷学嗣 氏(AIの専門家)
    ・株式会社由紀精密 代表取締役社長 大坪正人 氏(金属加工の専門家)
    ・株式会社エクシヴィ 代表取締役社長 近藤義仁 氏(VRの専門家)
    ・株式会社デンソーウェーブ ロボット事業部 技術企画部 室長 澤田洋祐 氏(ロボットの専門家)
    ・株式会社ローランドベルガー 代表取締役社長 長島聡 氏(経営の専門家)
    ・駿河精機株式会社 代表取締役社長 丸井武 氏(工場経営者)
    ・株式会社コアコンセプトテクノロジー 取締役CTO 田口紀成 (ソフトウェアの専門家)

    <モデレーター>
    ベッコフオートメーション株式会社 代表取締役社長 川野俊充 氏(制御・計測担当)

横浜、名古屋共に上記プログラムで各セッションが開催されました。
各会場とも、席にはこのような嬉しいノベルティがありました。
AIをテーマにした座談会で弊社CTO田口が登壇
お茶、プログラム、セッションのスライド資料、ノート、ペン。(「AI現場力」の本は受付でいただきました)
ノート、ペン、本は赤が映えてカッコイイなと。Orizuruの赤とブランドカラーが似てました。

AIをテーマにした座談会

今回の座談会のゲストスピーカーは、AIやVR、製造業、ソフトウエア、ロボット、経営などの有名な専門家を集めただけではなく、仲間企業である専門家の方々を一堂に会して開催。モデレータをやられていた川野社長により、かなり興味深い話を聞くことができました。

AIとは

川野社長
本日は各専門分野の方にお集まりいただいておりますが、まずは本日の重要なキーワード「AI」について、簡単に説明するとどういうものなのでしょうか。
浅谷CTO
AIは60年ほど研究されていて、スタートは1956年です。
最近は定義が曖昧になってきていて、当初AIの定義は、頭の中で行なっている機能をコンピュータでシミュレーションしようとして始まりました。しかし、当時の計算能力だと実現が難しかったのですが、最近のAIは、特にニューラルネットワーク(Neural Network)やディープラーニング(Deep Learning)とか色々なものが出てきて、人間の頭の中の神経細胞・活動を模してどうにか人間と同じようなアウトプットを出していこうということが最近のAIかなと思ってます。

「AI現場力」の解説

川野社長
AIの説明に続いて、長島社長の著書「AI現場力」とはどのような内容なのでしょうか。
長島社長
「AI現場力」という本、AIというタイトルがついている本を出していますが、決してAIだけの話をしているわけではなく、これから人としてどういう能力を持っていけば良いかという話であったり、それぞれが持っている得意技をどう使い合うか、相互に使うかということの何かしらのとっかかりになればなと、思ってます。

AIをテーマにした座談会で弊社CTO田口が登壇_横浜

長島社長
「暗黙知を形式知化する」という話が本日たくさん出てましたが、ここにいるみなさんは得意技をお持ちで、その今すでにある得意技をみんなの使いやすいようにしていくというのが、一つの始まりかなと思います。
創造生産性の向上に必要な流れとしては、
 ①すでにある人の能力、製品や設備の機能(’ありもの’)を徹底的に見える化
 ②異なる様々な能力・機能を持つ仲間が集い、それらを流通
 ③対話を通じて、能力・機能(’ありもの’)を組み合わせ新たな価値を創造
 ④’ありもの’では不足する能力や機能は素早く開発し、新たな’ありもの’として展開
となります。

誰もが持っている得意技(すでにあるもの、’ありもの’)を持ち寄って、最初はそれらを組み合わせて色々なイノベーションを生み出せますが、足りなくなったら新たな’ありもの’を生み出して組み合わせ、更にイノベーションが増えていく、そんな世界が描いていけたらなと思います。

VR・ARとは

川野社長
AIに続いて、VR・ARがどのようなものかを、みなさんにご紹介してただけますか。
近藤社長
VRは1968年にアメリカのユタ大学で主に研究されていて、アイバン・サザランドさんがルーツになっています。VRのブームは90年代にきて、一旦収束しましたが、昨年はVR元年と呼ばれるようになりました。スマートフォンの部品が活用できるようになって、コストダウンができ、今VR・ARの波がきた現状です。今被っているVR(ホロレンズ)のデバイスは、感覚的には登場したての肩掛け型の携帯電話のような巨大なサイズですが、将来的には日常で使えるメガネサイズになってスマホの代わりにビジネスのやり取りでも自然に使えるようになると思います。
川野社長
こういうデバイスが製造業の現場でも使われるということが増えてきてますよね。
近藤社長
そうですね。ARとかは特に使いやすいですね。例えば、
 ・機械のパラメータをビジュアライズ
 ・操作のマニュアルを供給
なんかに便利かもしれません。

AIと3D

川野社長
今のAIに関してどのように考えられているか教えてください。
田口
ビジネスとしての3DCADの話ですが、昔はコストがかかるワークステーションが必要でしたが、現在はブラウザでも動かすことが可能になってきました。こういったことが可能になってくると3Dがコモディティ化して、今度は何が始まるかというと3DモデルのAIができないかという話になります。
では、実際に何ができるかというと、例えば加工品の見積もりを形からざっくりいくらになるかをAIにやらせたりと、そういった需要が生まれてきています。

AIをテーマにした座談会で弊社CTO田口が登壇

川野社長
とりあえずやってみるということは大事ですよね。
田口
そうですね。まずやってみると。
そうすることである程度AIで知見が得られるので、実際の見積もりと近い数字が出せる可能性が高いです。それが現在のディープラーニング(Deep Learning)の技術だと思いますね。

AIをテーマにした座談会で弊社CTO田口が登壇

ロボット業界

川野社長
ロボットは先進的なイメージがありますが、ロボット業界ではどうでしょうか。
澤田室長
ロボットに関連した業務を30年ぐらいやっていますが、すごく大きくは変わっていないです。進歩が格段に遅く、オープン化がなかなか進まなかった業界でもあります。2006年頃からORiNに取り組んできたんですが、日本ではオープン化は取り入れられず、ヨーロッパから導入し始めた経緯があります。ちょうどこの頃から自律分散制御がではじめて、完全にオープンにする時、どこをオープンにするか、クローズにするかというのがとても重要になってきました。

シェアが多いロボットメーカーであれば、完全にクローズにしてもいいですが、シェアが少ないロボットメーカーとしては、オープンにしてどれだけ仲間が増やせるか、どれだけ仲間で価値を出せるかが重要でした。現在では、クローズにしている部分は、安全に関する部分とモーターを回す部分ですが、ここもどれだけ自立させてインテリジェンス化させるかがロボットメーカーとしての使命かなと思います。

AIのできることと苦手なこと

川野社長
AIのできることと苦手なことって、どのあたりに線があるのでしょうか。
浅谷CTO
AIができること・できないことが最近ははっきりしてきたかなと思ってきました。
AIが機能する時の前提条件は3つありまして、
 ・扱う事象がデータ化されていること
 ・そのデータ全体が蓄積されていること
 ・学習されたデータが不偏的に使えること、新しい環境でも使えること
この3つがAIを活用するための条件だと思ってます。
逆に、データに変換できないような事象は扱えない、と考えています。人間のコツとか感覚がこの条件、例えばデータ化できないのであればAIが扱うことはできないと考えています。
長島社長
コツみたいなものは形式知化できると考えています。匠の人が語ってくれる状態を作れば、ほとんどデータに落ちてくると思います。ただ問題はその次で、その匠の人が持っていたコツの上をいくものを人間が生み出さなくてはいけないので、コツをコツとして学んでしまった人(経験からコツを得てない人)がその上のコツを得られるのかは、やってみなければ分かりません。
近藤社長
AR(Augmented Reality)のAはAugment(拡張)という意味なので、人間が知覚できない現象や、超音波などそれらを日常でAugment(拡張)して、それをサンプリングしてそれをさらにAIにフィードバックすることもできます。それが『その上のコツ』を獲得する可能性になるかもしれません。

匠の技術を継承する工夫

川野社長
これからの人が匠の技術を継承するために、製造・加工の現場ではどのように工夫しているのですか。
大坪社長
職人技をデータ化してデジタルにして伝えられると思います。一度経験してセンシングできるものはデータ化してしまう、データ化した仕組みができれば、経験ボードにとっておいてそれをディープラーニング(Deep Learning)にかけて次につなげましょうという流れにしています。

私たちの会社では、一度誰かができた何か新しいことは、隠さずに全員で共有しています。さらにそれを超えるために、新しい工具を使ってみたり常識に反することをやるなどのチャレンジをさせています。今ある技術はみんなで継承しましょうという文化ですね。

川野社長
データ化するより、みんなで継承するという考え方にする方が難しいのではないでしょうか。
大坪社長
手に職をつけてしまう職人さんは、その場所を離れたくないんです。人間の感覚として、自分しかできないものは手放したくないと思いますし。でも、私の会社では自分だけしかできないのは偉いのではなく、本人が死んだら会社のリスクですよというように全体の技術を上げていきましょうという文化ですね。
近藤社長
確かに、字が下手でもワープロで上手な文字を打てるようになったし、製図が大変でしたがコンピューティングリソースによって直線がCADで引けるようになって、ある意味職人技がコンピューティングによって誰でもできるようになってます。
川野社長
確かにそういう技術が民主化していくと、みんなの生産性が上がるはずなんで、正しく使えばみんなハッピーになれる気がしますよね。

鉄道は定時運行のための自動化をしないのか

川野社長
先日テレビを見ていて、イギリス地下鉄の運行責任者の方が日本の鉄道会社の見学に来て、センサーなどを使わずに運転手さんの技術で定時運行をしていたことに感嘆していたのですが、そもそも自動化してしまえば便利かなと思ったのですが、どうですか?
長島社長
鉄道会社のポリシーが定時運行に尽きるのであれば自動化はありえると思います。そうではなく、人が運転をしている姿を子供などに見せることまでを含めて鉄道会社の社会的意義としているのであれば、完全に自動化するのではなく、人が運転する価値を提供していくはずですね。価値の多様性を意識することが大切です。

自動化

川野社長
深圳(シンセン)の工場で自動化がすごかったと言われていたのですが、どうでしたか?
近藤社長
深圳(シンセン)のスマホケースの工場ですが、工場全体がオートメーション化されていて、その日の作業や使用する工具などがスマホやモニターに表示され、ラインが遅れているとカメさんの絵が表示されたり、それこそお昼の出前もスマホで注文できたりと、徹底的に自動化している工場でした。
丸井社長
便利だと思って現場が楽しくやっていけるのはいいが、そこに慣れると楽しいではなく退屈になって、考えなくなっていくのではという心配もあります。いかにして続けていくかと考えると、そこには人が関与してくことが重要です。
川野社長
AIを本当に役立てるためには七転八倒する必要があります。色々とやらせてみて失敗して、初めて閃きのような突破口が見えてくるものです。
言わんとするところは、単に技術を組み合わせて使うだけではなく、本質的なところが見えてくるまで、色々と試行錯誤して本日お集まりの皆様のように楽しみながら取り組むことが大切なのかもしれません。

質疑応答

川野社長
「AIとはどういう仕組みなのか、汎用的なものなのか」という質問を会場からいただいていますが、浅谷さんどうでしょうか。
浅谷CTO
AIはひたすら計算処理(行列処理)をしているだけなんですね。例えば、AIが勝手にプログラミングをするということはまずありえないんです。AIが機能する時の3つの前提条件がありましたが、AIは学習した大量のデータを人間が欲しい別のデータ形式に変換しているだけなんです。その表現の中で解決できる問題であれば解決できるし、逆にそういったことができないのであればAIではできないですね。

AIをテーマにした座談会で弊社CTO田口が登壇

座談会を終えて

印象的だったのは、リスクや障害がある中でとにかくやってみることが新しいイノベーションの一歩を作っていくために重要なのではないかと思いました。今後どのようにAIが活用され、それによりどう業界が変わっていくのか、イノベーションが生まれるのかが非常に楽しみです。

それでは次回のセミナーレポートをお楽しみに。